Donate Coffee Blog

コーヒーについてのブログです。焙煎豆はこちら→https://donatecoffee.stores.jp/

焙煎と水分量の関係

 やっと水分量について書くことができます。水分量、含水率、含水量とかごちゃごちゃになってますが気にしないでください。

 めちゃくちゃ長くなってしまいましたがお役に立てれば幸いです。

 

  • 生豆の含水量と水分活性

The International Coffee Organization states that dried green coffee beans should have a moisture content of 8 to 12.5%, with the exception of “speciality coffees that traditionally have a high moisture content, e.g. Indian Monsooned coffees” (Resolutions 407, 420). However, that doesn’t mean a  moisture content of 9% is a good percentage for specialty coffee.

ICOでは乾燥させたコーヒー豆は、例えばインドモンスーンコーヒーのような伝統的に水分含量の高い特製のコーヒーを除いて、8〜12.5%の含水率を有するべきであると規定しています(Resolutions 407,420)。しかしそれは9%の含水量が、スペシャルティコーヒーのための良いパーセンテージであることを意味してはいません。

Over-drying also affects the quality and taste of coffee. At 9% moisture, you can expect a loss in aroma, freshness, and clarity. If the moisture content drops below 8%, then the roasted bean would contain hardly any flavour at all. 

乾燥し過ぎのコーヒーは品質と味にも影響を与えます。9%の水分では、アロマ、新鮮さ、透明度が失われることが予想されます。含水率が8%を下回ると、焙煎豆には味がほとんど含まれなくなります。

Good levels of moisture content allow for high cupping scores, balanced acidities, and great aroma. There’s debate over the best moisture level, but 10–12% is generally accepted. I (along with many others) prefer 12%, while the International Trade Centre recommends that producers aim for 11%.

良好な水分含量は、高いカッピングスコア、バランスのとれた酸味、および素晴らしい香りを可能にします。最高の水分レベルに関する議論は多くありますが、10-12%が一般的に受け入れられています。私は(他の多くの人々)12%を好む一方、国際貿易センターは生産者に11%を目指すことを推奨しています。

https://www.perfectdailygrind.com/2017/08/roaster-guide-green-bean-moisture-content-important/

 コーヒーの水分量は8-12.5%に収目るのが通説のようです。基本的には水分量が高いほど良質とされているのもうかがえます。では12%を超えてしまうとどういったことが起きるのでしょうか?それについて知るには水分活性について知らなければなりません。

In other words: moisture content refers to how much moisture there is inside your coffee. Water activity indicates how likely that water is to result in further transformations, such as fermentation and mold.

いいかえると、含水量とはコーヒーの中にどれくらいの水分があるかを指します。水分活性は水が発酵およびカビなどのさらなる変換をもたらす可能性があることを示しています。

Water activity is measured on a scale from 0 to 1.0, where 0 is dry and 1.0 refers to pure water. Hanuman tells me that there will always be free water in green coffee – meaning that there will always be water activity.

Green coffee beans, he says, should have a water activity that is less than 0.6. Between 0.6 and 0.9 aW, the chance of microbial activity increases, potentially leading to mold and fungus in the beans.

水分活性は0〜1.0のスケールで測定され0は乾燥し1.0は純水を意味します。ハヌマンは、生豆にはいつも自由水があると言います。つまり常に水分活性があるということです。

生豆は水分活性が0.6未満でなければならないと彼は言っています。0.6と0.9 aWの間で微生物の活動の機会が増え、豆にカビと真菌がもたらされてしまいます。

https://www.perfectdailygrind.com/2018/04/how-to-protect-green-coffee-from-excessive-water-activity/

 水分活性の値が高ければ高いほど変質してしまう可能性が高いのです。カビなどが原因でディフェクトは生まれてしまいます。それにより一気にカップクオリティを落としてしまう危険性が高まります。せっかく高品質なコーヒーを作ったにもかかわらずそれが変質してしまえば元も子もなくなってしまいます。

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https://www.flickr.com/photos/virmaxcafe/12227214635/in/photostream/

https://caravela.coffee/

 caravela coffeeという生豆のバイヤーがFlickrにて投稿していた画像です。含水量と水分活性について相関図を導き出しています。12%を超えると一気に水分活性にばらつきが出始めています。12%を上限と定める理由として不安定な水分活性と、その管理のしやすさも考えられます。

 また概ね9~12%はきれいに比例の直線を描いています。特に10~12%はほぼ直線に近くばらつきがほとんどありません。これから水分活性に関する記事を取り上げますが「水分活性が高い」という文章を「含水量が高い」ととらえてもさほど問題がないように感じます。(というかそう考えたので取り上げます。)

  • 含水量と焙煎

Moisture content is also crucial when the coffee is being roasted. Since water conducts heat, the moisture in the bean provides a pathway for the heat to transfer to the centre of the bean. With too little moisture,  the beans roast too quickly on the outside and the inner is left raw – creating grassy flavours.

コーヒーを焙煎するとき水分含有量は重要な要素です。水は熱を伝導するため、豆の水分は熱が豆の中心に移動する経路を提供してくれます。水分があまりにも少ないと豆の外側があまりも早くローストされてしまい内側が生のままになってしまいます。-グラッシーフレーバーを作り出します。

https://www.perfectdailygrind.com/2017/08/roaster-guide-green-bean-moisture-content-important/

 水分を介して熱が中心まで伝わっているようです。これはコーヒー豆の繊維質よりも熱伝導が良いようです。また含水量の低い豆(ナチュラル製法など)はこの伝達が悪いため熱量が内部まで浸透しにくく、生焼けになりやすいようです。ナチュラルを焼く水分抜きの際はダンパーを閉じておくというのは、水分をわざと豆に残して熱を内部まで進行させる目的があるためだったんですね。

 逆にウォッシュトの豆は水分量が多いためたくさんの熱量を使わなければ水分が抜けていかないのが分かります。

 こちらもどうぞ:ハードビーンとソフトビーンの焙煎のしかた - Donate Coffee Blog

 こちらもどうぞ:ナチュラルとハニーの焙煎。対流熱を使おう - Donate Coffee Blog

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 さてここからなんですが、水分活性とメイラード反応についての記事を引用させていただきます。

The coffee with higher water activity (~0.58, shown in purple dots on the chart) experienced more consistent first crack temperature and time than did the lower water activity counterpart (~0.54, in green).

より高い水分活性のあるコーヒー(〜0.58、チャート上の紫色の点)は、より低い水分活性の比較対象(〜0.54、緑色)よりも一貫したファーストクラック温度および時間を記録した。

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https://dailycoffeenews.com/2017/11/22/the-relationship-between-water-activity-and-the-maillard-reaction-in-roasting/

 まず前提としてメイラード反応をここでは160℃を超えたら始まったと考えています。1ハゼでメイラード反応以外の反応が早まるため、メイラード反応のみを比較したいために160℃~1ハゼの時間をメイラード反応時間としています。(結構オーソドックスな考え方だと最近知りました。)

 そのため活性水分と1ハゼの関連性から調べています。結果としては活性水分が高いほど温度と時間にばらつきが少ないことが示されています。(なぜなのでしょうか?)

 こちらもどうぞ:メイラード反応で行う焙煎コントロール - Donate Coffee Blog

more dramatic color change occurred in the High aW sample as a function of length of roast. It also repeated the trend of darker color at longer roasting times for the high water activity sample. The chart below shows whole bean ColorTrack scores of each roast. The samples were roasted at each of the 3 profiles twice.

高水分活性サンプルではローストの長さと関わり、より劇的な色の変化が生じた。 また水分の多いサンプルはより長い焙煎時間から暗い色になるという傾向が繰り返された。下のグラフは、各焙煎豆のColorTrackスコアを示している。サンプルは3つのプロファイルをそれぞれ2回ローストしたものである。

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https://dailycoffeenews.com/2017/11/22/the-relationship-between-water-activity-and-the-maillard-reaction-in-roasting/

 ここではメイラード反応の時間を調節したものの色を比べました。結果、高活性水分の豆のほうが色に大きく差が出たそうです。

 コーヒーの焙煎カラーはメイラード反応によって決まります。メイラード反応に長い時間をかけた物は水分量の多い豆のほうが色づいています。これは水分によって熱がしっかりと加えられたと考えられます。低時間のものだと逆に低水分のものが色づいているのは含水量が少ないためメイラード反応が始まる時間がはやかったからともかんがえられます。(先ほど160℃から始まるというのは、コーヒーのメイラード反応が最も活発化する温度が160℃からであることから基準として始まりの点としているだけであり、実際には160℃以下の温度でもメイラード反応は起こっています。)

 ここから、最初は低水分の物のほうがなされていたメイラード反応はどこかを転換点とし、高水分の豆のメイラード反応が激しく起こり逆転が起きているとわかります。

Increasing the heat had a subtle but measurable impact, where the slow-starting high aW sample increased in temperature more rapidly than its low water activity counterpart.

熱を増加させることは微量な測定可能な影響をもたらし、ゆっくりとスタートした高水分のサンプルは低水分の対象物よりも急速に温度が上昇した。

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When I decreased the heat at the same time during the roast, the Low aW coffee stalled and dropped about 5 degrees Fahrenheit, but the high aW sample did not.

ロースト中に同じように熱を減らしたとき、低水分活性コーヒーは失速し、約5℉(3℃)降下しましたが、高水分活性サンプルは降下しなかった。f:id:donatecoffee:20180712171700p:plainOne additional observation I made: Regardless of heat application across all the roasts I performed, the Higher aW sample generally had a lower turn-around (minimum) roast temperature.私が行ったもう一つの観察:私が行ったすべてのローストの熱の適用にかかわらず、より高水分活性のサンプルは、一般にローストラウンド温度(最低)のロースト温度を持っていた。https://dailycoffeenews.com/2017/11/22/the-relationship-between-water-activity-and-the-maillard-reaction-in-roasting/

 高水分量の豆の方一時的に抵抗を見せたもののそのあとは熱の吸収が著しく良くなっています。水分量が多く吸収する熱量が多いためボトムが低いのだと考えられます。またその後の反応は熱を吸収する媒体である水分が多いほうが上昇率が高いのだとも考えられます。

 また温度を低下させたときも、熱量を保持している水分が少ないほうが手放すカロリーの割合が大きくなるため温度低下が激しいと考えられます。 

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The data only somewhat corroborated my working theory of Maillard rate and its affect on sweetness, acidity, and flavor. However, it showed that the High aW batch was notable for its higher perceived acidity, which persisted regardless of roast style. The Low aW sample responded very unfavorably to an extended Maillard time, and its acidity tracked predictably down and up during corresponding slow and fast Maillard reaction times. The High aW sample’s sensory attributes remained proportionally less affected by Maillard reaction rate, by comparison.

データはメイラード反応率に関する私の理論とスウィートネス、アシディティとフレーバーに影響を与えることを裏付けた。しかし、それは高水分活性バッチがローストスタイルにかかわらず多くのアシディティを残し続けたことを示している。低水分活性サンプルはメイラード時間が長くなると非常に不利な反応し、メイラード反応の時間の遅さ・速さに対応してアシディティは予想通りに低下・上昇する。高水分活性サンプルの味覚特性は、メイラード反応速度の影響を比例的には受けずに維持されていた。

 Ultimately, the High aW sample was less affected by stylistic changes in roasting during the Maillard reaction prior to first crack, particularly in regards to its perceived level of acidity. The Low aW sample was more sensitive to heat changes during the Maillard reaction, perhaps because it was predisposed to a slower reaction rate. More profound sensory changes were observed from roast to roast in the Low aW sample.

最終的に高水分活性サンプルの、特にアシディティの知覚レベルについては、ファーストクラック前のメイラード反応の影響を受けづらい。低水分活性サンプルはおそらく反応速度が遅い傾向があるためメイラード反応中の熱変化に対してより敏感であった。低水分活性サンプルではローストのすべてにおいてより深刻な味覚変化が観察される。

https://dailycoffeenews.com/2017/11/22/the-relationship-between-water-activity-and-the-maillard-reaction-in-roasting/

 高水分サンプルは時間にかかわらず、ある一点を超えると一定量以上のメイラード反応が絶対に行われていることが分かります。急な化学変化が起きているのでしょう。

 対して低水分のものは時間に比例しているため、徐々にメイラード反応が起きているということ後わかります。起こしえる殆どのメイラード反応を起こそうとしたとき低水分のもののほうが時間がかかるであろうとも考えられますね。 

1. The rate of Maillard reaction can affect a coffees perceived sweetness, acidity, and viscosity.  (faster = higher sweetness & acidity / slower = more balanced & more viscosity)
2. Water Activityof the green coffee will affect rate and color of Maillard reaction and Sugar Browning.
3.Under conditions where, all other things being equal, two coffees of differing water activity are compared, the coffee with higher water activity (approaching 0.70):

    1. may have anincreased rate of Maillard, and may respond more quickly to heat application during this stage of roasting.
    2. may exhibitacidity that’s (comparatively) resilient to heat/rate of Maillard reaction.
    3. seems to experiencemore predictable time/temp of first crack.
    4.seems to achievedarker colors at similar end time/temp.
1. メイラード反応の割合は、コーヒーのスィートネス、アシディティに影響を及ぼし得る。 (より速い=より高い甘味と酸味/遅い=よりバランスのとれた&より粘度)
2. 生豆の水分活性は、メイラード反応およびシュガーブラウニングの速度および色に影響を及ぼす。
3. 他のすべてが等しい条件下で、異なる水分活性の2つのコーヒーを比較すると、より高い水分活性(70に近い)のコーヒー:
    1. メイラードの割合を増加させる可能性があり、焙煎のとある段階での熱に迅速に応答する可能性がある。
    2.メイラード反応の熱/速度に対して(比較的)弾力性のある酸性度を示すことがある。
    3.予測可能なファーストクラックの時間/温度を記録するように思える。
    4.同様の終了時間/温度でより暗い色を達成するように思える。

https://dailycoffeenews.com/2017/11/22/the-relationship-between-water-activity-and-the-maillard-reaction-in-roasting/

 豆のスクリーンや密度や水分量とか変数がたくさん多いですが、もっとも影響力があるのは水分だと思いました。水分計ほしいですね。

  • 引用元

www.perfectdailygrind.com

 

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