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Tasting Set Vol.1『ぽいブラジル、ぽくないブラジル』

送料無料セットを作ろうと思いましたが、適当に組み合わせてもおもしろくないので何かテーマを持たせようとおもいました。

飲み比べて面白い物をセットにすればまぁ良いのではないかと思いまして。飲んで感じたことをグダグダ書いております。

 

ということで今回はブラジル2種です。

・Bela Vista, Brazil, Pulped Natural, 100g
・Bela Vista, Brazil, Natural, 100g
こちら2点、同じ農園の生産処理違いのセットです。

 

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・パルプドナチュラルとナチュラ

とりあえずパルプドナチュラルとナチュラル違いから

パルプトナチュラル(半水洗式)
果肉を除去し、粘質物(ミューシレージ)を残した状態で乾燥させる方法です。上述したナチュラル精製のデメリットを解決するために1980年代にブラジルで実用化されました。収穫されたコーヒーチェリーを果肉除去機にかけると、果肉の硬い未熟豆はきれいに果肉が除去されずに機械内に残るため、完熟豆と未熟豆を比較的容易に選別することができるのです。

これにより、熟度を揃えて精製することが可能となり、品質が安定します。大規模農園で機械による無差別収穫を行うブラジルでは、これにより品質が向上しました。

好みのコーヒーに出会うために知っておきたい4つの精製方法と味わい | 選ぶ | 選ぶ・いれる・味わう | 知る・深める。 | 堀口珈琲 HORIGUCHI COFFEE

ナチュラル(乾式、非水洗式)
コーヒーチェリーを果実のまま乾燥させる方法です。乾燥された果実の被覆物を除去して、コーヒー生豆を取り出します。果実のまま乾燥させることによって独特な風味が得られる一方で、シンプルな工程故に熟度を揃えるための選別が難しく風味に悪影響を及ぼす未熟豆が混入しやすいというデメリットがあります。

高品質なナチュラル精製のコーヒー生豆を得るためには、完熟豆だけを手摘みで収穫をしたり、乾燥ムラが起きないように定期的に撹拌したりと、丁寧な仕事が求められます。

好みのコーヒーに出会うために知っておきたい4つの精製方法と味わい | 選ぶ | 選ぶ・いれる・味わう | 知る・深める。 | 堀口珈琲 HORIGUCHI COFFEE

堀口珈琲さんの説明は的確ですね。

まぁざっくりというとナチュラルは果肉の糖分が多く付着した状態なので発酵しやすい生産処理。

パルプドナチュラルは果肉の一部が除去されているのでナチュラルよりは発酵感が控えめになりやすい生産処理というイメージでよいのかなぁと。

そしてよく見るウォッシュトはできるだけ余計な発酵を避けている生産処理になりますね(ざっくり説明です)。

 

ということで今回のブラジルは生産処理の差になります。

 

・ドライ(粉の状態の香り)から思うこと

パルプドナチュラルのドライコメント

パルプドナチュラルはトップノートロースティドアーモンドを中心に感じます。鼻が順応するにしたがって甘さのあるオレンジのアロマが徐々に顔を出してきます。甘さがあって柔らかいナッティなイメージが支配的です。ちょっとナッツバター的なニュアンス。

ナチュラルのドライコメント

ナチュラルは強烈なワイニーなトップノート。奥にすこしブドウかダークベリーの印象が感じられます。フレッシュフルーツというよりは少しドライフルーツがかった印象ですね。鼻が慣れてくるとすこし酢っぽいような感じが強く感じられました。鼻の奥に抜けるような香りですね。チョコレートも感じられますね。

 

パルプドナチュラルからは、その他の国のLow Specialtyでは感じられないブラジルらしさを十分に味わいます。個人の感想ですが、その他の国のLow Specialtyではもっと少ない甘さのナッツ感を感じますね。これもウォッシュトではなく、ナチュラルかパルプドナチュラルが大半を占める国だからなのかもしれません。ウォッシュトと比べると、やはり甘さの印象が豊かになりますし、焙煎香も糖分の増加からキャラメル感が強くなっているのかもしれません。これがナッツバターっぽさにつながっているのでしょうか?

一方で、ナチュラルの方は伝統的な穏やかなブラジルナチュラルではなく、近年よく見る発酵感の強いものです。こういう派手な発酵系のブラジルは最近は良く見かけることもありますが、8〜10年前にはあまりなかったように思います。他の中南米と比べても強い発酵系が少ない印象です。

4年前くらいでしょうか、クラシフィカドール(ブラジルコーヒー鑑定士)の方と仕事した際に、グアテマラの発酵感がまあまあ強めなコーヒーを提供したことがありました。その方は一口含み「これを美味しいと思えないんだよなぁ、過発酵だよ〜」と最近のコーヒーさ~と嘆いていました。詳しく聞くとやはりクラシフィカドール取得の際にネガティブとして教わってきたそうです。とまあこういう背景も含め、ブラジルのナチュラルは穏やかなものが多く、派手なナチュラルが少ないのかなぁと思うのでした。

ブラジルコーヒー鑑定は減点式でSCAは加点式を採用しているから~、みたいな話も原因の一つかもしれませんね。日本酒業界でもこんな話聞きますよね。減点法による評価法は、均一化や平凡化を助長してしまったという話です。

だからこそ、従来はネガティブと考えられていた香りが、ポジティブにとらえられるようになってきた~みたいな話もよく聞きますよね。オフフレーバーの定義も時代によって変わるという話は、コーヒーでも日本酒でもワインでもそうですよね。ナチュールワインとかもいろいろ思うところ多い人は多いですよね。

sakestreet.com

とまぁアロマではこんなこと思ったりしました。

 

・カッピングから思うこと

パルプドナチュラルのカップコメント

8~14分。ロースティドピーナッツをアタックにグレープフルーツ~オレンジぐらいな甘さの柑橘感が少し遅れて感じられる。酸の量は控えめでシンプルなクエン酸系な印象だが角が無く柔らかい印象。ボディも軽めで粘性はまだ感じられない。テイストバランスは酸味<甘味。

14~20分。ボディもやや増加したがなにより粘性が向上し口当たりの柔らかさが増した。じわじわと続く甘いナッツオイル感、アフターの甘さの持続性が長くなった。フルーツの印象が増えまた甘さの印象も増えたのでオレンジと十分言える。

まとめ。ぱっと受ける印象は明るいが、酸は控えめで柔らかく、オレンジも十分に感じるもののフレーバーはナッツが中心。粘性が結構感じられるが量感は中~中低程度。アフターに長ーくつづくナッティバター感。

ナチュラルのカップコメント

8~14分。赤黒ベリー系なフレーバー、微かに柑橘も混じる。ミドルからアフターに欠けてチョコレート。酸質はやや鋭く少し浮いた印象。ボディは中程度で甘味より酸味が目立つ。そうボディは中程度!!!!!!

14~20分。ライプフルーツ感が出てきた。これによりワイニー感が充足したか。アフターにチョコレートがしっかりと残るような印象に。ボディは結構あるが粘性があまり感じない。甘さが出てきたがまだ酸味がやや優位か。

まとめ。ぱっと受ける印象は暗い印象を受けるが、酸ははっきりとしており、ややドライフルーツがかったダークベリー、チョコレート、ワイニーなフレーバー。全体として重たい香りが中心で複雑さもある程度ある。ボディも十分にあるが、粘性は特段強くはない。

 

当たり前なことですが、同じ農園でも生産処理によって風味は大きく異なりますね。

ナチュラルの方は派手ですね。伝統的なブラジルナチュラルでは酸質が柔らかいものが多いです。この豆の酸のシャープさは発酵の強さからくるものでしょうね。生豆由来の酸味というよりは、発酵由来の酢酸なのかなぁと考えています。アロマでも少し酢のような香りを感じ、テイストでも酸の鋭さを感じるとなると、どちらも酢酸由来なのかなと思います。通常、ウォッシュトよりもハニーorパルプドナチュラルの方が酸味の量感が減り柔らかくなります。同様にハニーよりも穏やか系ナチュラルの方がより酸の量が減り柔らかくなるように感じています。これをもっと過ぎた派手な系統のナチュラルは酸味が増し、シャープさを帯びていくように感じます。やはり原料由来の酸は減少しているが、発酵由来の酸は増えていっていると考えたりもします。まぁ酸味についてはこんなことを思いますね。

糖質を焙煎した香り(シュガーブラウニングアロマ)もナチュラルだとチョコレート系になりますよね。これも果肉がついた状態で乾燥していくことから、生豆に糖分が多くなっているからなのかぁとかも思います。普通のウォッシュトではグレイン~ナッティなものが多く、ナチュラルではナッティ~チョコレート系のものが多いのも糖分の量からメイラード反応やカラメル化が活発なのでしょう。高品質ウォッシュトでも、ナチュラルかと思うくらいにチョコレート感が強い物もありますが、それも品質が高すぎるがゆえに生豆の糖分含有量が多いのかなぁとか思ったりもします。

パルプドナチュラルからはもうブラジルブラジルな印象がこれでもかと詰まっていて、個人的には大好きです。正直地味です。けれども地味なんだけど個性的なんです。

まずはブラジルの生産地域の多くはそんなに標高が高くないんですね。ハングタイムも伴って短くなるでしょうから、ボディはライトに酸味も控えめになってしまいます。しかしながら発酵を効かせているからか柔らかさが非常に特徴的。それに伴ってからか甘さの印象が強いんですね。ライトボディで酸味も弱いのに、甘さが妙に強いこんなコーヒーをメインとして生産している国はブラジルぐらいではないでしょうか?

僕の周りの多くのコーヒーエキスパートはブラジルをブラインドでも正解できる人が多くいます。それくらいにこの国の特徴は際立っているのだと感じます。中南米のLow Specialtyのブラインドカッピングで、ブラジルぐらいはっきりとした個性のある生産国はないのではないかと思うくらいに、ブラジルが個性的なのか、はたまたその他中南米の品種や生産処理が似ているのか。

SCA評価ではこの国の個性はあまり高い点数がつかないのは仕方ないと思います。だけれどもここまで生産国の特徴をはっきりと表しているのは評価できない価値だなぁとしみじみ思います。こういうのをもっと大切にしてあげたいなぁと思うところです。

 

・まとめ

浅めの豆売っていて「酸味が少ないのが欲しい」と注文されること多いです。「無い」というのも違うなぁとこういう時にブラジルあると安心します。浅煎り=酸味というイメージは多くの方が抱いているイメージですが、浅くても酸味少ない豆は結構需要ある気がするんですよねぇ。

 

・今回のセットはこちら

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