Donate Coffee Blog

コーヒーについての面倒くさいブログです。

カッピングを深めよう!風味特性(Flavor Attribute)について②時間区分編

さて先日はCupping Protocolの各項目Flavor AttributeをSensoryという枠組みで考えてみました。Aroma, Acidity, BodyはSensoryによって明確に分けられているのではないかという内容です。

donatecoffee.hatenablog.com

しかしFlavorとAftertasteはSensoryという枠組みでは分類できません。それらを分ける線引きはSensoryではなく、口中体験の前後によって分けられてるからです。

カッピングの動作を分けると下記のようになります。

  • Before Slurp 液体をすする前
  • After Slurp, Before Spit すすってから吐き出すまで
  • After Spit 吐き出した後

 

・After Slurp, Before Spit

Before Slurp液体をすする前は後回しにします。先にすすってから吐き出すまでについて考えて行きます。

Cupping ProtocolのFlavorをみてください、

Flavor | Flavor represents the coffee's principal character, the "mid-range" notes, in between the first impressions given by the coffee's first aroma and acidity to its final aftertaste. It is a combined impression of all the gustatory (taste bud) sensations and retro-nasal aromas that go from the mouth to nose. The score given for Flavor should account for the intensity, quality and complexity of its combined taste and aroma, experienced when the coffee is slurped into the mouth vigorously so as to involve the entire palate in the evaluation.
l フレーバー | フレーバーはコーヒーの主要な特徴を表し、コーヒーの第一印象である アロマ、アシディティから最後のアフターテイストの間の”ミッドレンジ”である。これは 味覚(味蕾)感覚と口から鼻に抜けるレトロネーザルアロマの複合した印象です。フレーバーに付けられるスコアは、口全体に広がるようコーヒーを勢いよく啜った時の経験 による、味覚と嗅覚の組み合わせの強度、品質、複雑さを考慮された評価である。

Protocols & Best Practices — Specialty Coffee Association

レトロネーザルアロマとは口の中の食べ物や飲み物から発せられる香りのことです。

(もうちょっと詳しく知りたい方はニチレイのページをみてください→https://www.nichirei.co.jp/lab/ms-nose/1-4.html)

つまりFlavorとはSensoryを指定していません。代わりに液体の場所を指定しています。啜った瞬間から吐き出すまでの、口中に液体を含んでいる時のSensoryであり特に味覚と嗅覚のことのようです。

下の図のイラストは、鼻は嗅覚を、舌は味覚を、唇は触覚を表しているつもりです。

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(Flavorには触覚Touch = Bodyも含まないのでは、上の図だと触覚も含んでることになるよ!と考えた方は鋭いです。Cupping Protcolには"味覚と嗅覚の組み合わせ"と書いてあり、触覚を含ませた表現はありません。しかしFlavorを検知する際に、触覚Touchを完全に排除することはありえるのでしょうか?非常にむずかしいことだと考えます。また素晴らしい触感を持ったコーヒーはその触感からSweetnessを感じさせることもあるではないかと考えております。これであるならば、味覚Tasteと触覚Touchは切り離せるものではなく複雑に結びついてるのではないか?とも考えるわけです。また液体の粘性が高ければ味の感じ方も変わってしまうのではないでしょうか?ここら辺についてなにか知ってる方教えてください。)

 

・After Spit

コーヒーを吐き出すSpitまたは飲み込んだあとについてです。

Aftertasteの説明を見て行きましょう。

Aftertaste | Aftertaste is defined as the length of positive flavor (taste and aroma) qualities emanating from the back of the palate and remaining after the coffee is expectorated or swallowed. If the aftertaste were short or unpleasant, a lower score would be given.
l アフターテイスト | アフターテイストはコーヒーを飲み込むまたは吐き出した際に残 る、口の奥から発するポジティブフレーバー(味覚と嗅覚の双方)の⻑さと定義される。 もしアフターテイストが短かったり不快であるならば、低い点数が与えられるはずで ある。

Protocols & Best Practices — Specialty Coffee Association

Aftertasteも同様にSensoryを指定していません。こちらも液体の場所、液体を口蓋から排除した時のSensoryであります。After"taste"じゃなくてAfter"flavor"じゃないか!騙されてたぞ!という方も何人か見たことあります。

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(ここまで読んでいた方はFlavorという言葉の定義がよくわからなくなってくることがあります。広義的flavorと狭義的Flavorかあります。広義的意味では口中に含んでる、口外に吐き出したという区分に関わらず総合Sensoryについての意味です。狭義的意味ではAttributeの一つであるFlavorであり口中の総合Sensoryについてと分けてます。Aftertasteの説明に書かれているPositive Flavorというのは広義的意味であります。こういう錯誤を防ぐために僕はMouth-flavorとAfter-flavorという言い方を使っています。そのどちらも複合する言葉としてflavorを使えばいいのにと考えているのですが、いかがでしょう?)

・Before Slurp

さてさてここまで行くとすする前の説明も楽です。液体をすする前の総合Sensoryです。と言いたいところですが、液体をすする前は味覚も触覚も使えません。嗅覚のみです。ですので、すする前は嗅覚によるAromaのみとなります。

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・マトリクスで捉える

時間で分けられているのが、

FlavorとAftertaste

センサリーで分けられているのが、

Aroma, Acidity, Sweetness, Bodyでした。

これを1つの図にまとめるとこんな感じですね。

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いかがでしょうか?

相関関係が見えやすいですよね。

これをみなさんに伝えたかっただけです。

 

・余談とまとめ

Barista HustleのCupping ProtcolではAfter-feelの項目があります。そをは触覚を時間で分けたものなんですね。

そう考えると、そのほかにも頑張ればAfter AromaだけやAfter Acidityと分けて考えることもできるはずなんですね。

Flavorが良くないときは、口中のどのセンサリーが良くないのか?などより細分化を測ることができるはずです。

カッピングスキルやセンサリーを向上させるには、細かい点をしっかりと捉えることから始まると思います。また大枠を細かく細分化して捉えてあげることは、その液体のいろいろな側面を見ることだとも思います。

 

・引用元

 

sca.coffee